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お知らせ 2023.02.20

年次有給休暇の活用法

 有給休暇とは何か
 有給休暇は、労働者が取得する休暇のうち、賃金が支払われる休暇のことをいいます。正式には「年次有給休暇」といい、有給・有休・年休などと短縮されることもあります。有給休暇は労働基準法で定められた休暇であり、労働者のワークライフバランスを見直す目的で付与されます。

 会社は、6カ月以上継続勤務しており、所定労働日数の8割以上出勤している従業員に対して、10日間の有休を付与しなければなりません。なお、有休の有効期限は2年で、翌年度まで繰り越しして取得することも可能です。

 有給休暇は必ず取れるもの?
 有休は、原則として誰でも好きなタイミングで取得できます。しかし、複数の従業員が同時に休むと仕事に著しい支障が出る場合などは、会社側は従業員に対して有休取得の時期を変更するように要求できます。また、6カ月以上継続勤務しており、6カ月間で所定労働日数の8割以上出勤していれば、派遣社員やパート・アルバイトでも有休を取得できます。
 
 週の所定出勤日数が1日でも、この条件を満たしていれば有休は取得可能ですが、欠勤が多い方は取得できない可能性もあるため注意しましょう。
 よい仕事は充実した休みから生まれる
 上司や先輩が有休を取得していない、人手不足で休んでいられないなど、有休を取得しづらい場合もあるでしょう。しかし、きちんと休みを取ることは、心身をリフレッシュするだけでなく、生産性やモチベーションを上げることもできます。

 企業にとっては、従業員が有休取得できるよう労働環境を整備している、というアピールにもなります。働きやすい職場には優良な人材が集まり、さらなるパフォーマンスの向上につながります。

 有給休暇を取るときも周りへの配慮を
 有休は労働者の権利として取得できるものですが、有休を取得する場合は周囲への配慮が必要です。ここでは、どのような配慮をすべきか解説します。

 休暇申請は早めに伝える
 有休取得の申告期限や申告方法などは、法律で定められていません。しかし、勤務先には早めに伝えておくようにしましょう。「前々日までに申請」など、会社・派遣会社によって有休取得のルールが決められている場合もありますのであらかじめ確認しておきましょう。1週間前をめどに余裕をもって申請するのがおすすめです。3日以上連続して休む場合は、1カ月前には上司に相談しておくとよいでしょう。

 繁忙期は避けるようにする
 有休を取得する際は、自分の都合だけでなく周囲への配慮を忘れないようにしましょう。自分が休むことで業績や運営に支障が出る可能性がある場合、会社側から有休を取得する時期をずらすよう指示されることもあります。周囲に迷惑がかかると、その後の人間関係や業務の遂行に影響が出るかもしれません。緊急な休みでない限り、繁忙期は避けたほうが無難です。

 社内や取引先に休むことを伝える
 有休を取得する際は、自分が休んでいても業務が円滑に進められるよう、上司だけでなく同僚にも伝えておきましょう。取引先にも事前に伝えておけば、よりスマートです。休暇中であることを知らせる自動応答メールを設定しておくのもよいでしょう。自分がいない期間がわかっていれば、相手は連絡時期をずらしたり、要件をメールで伝えたりなどの配慮ができます。

 有休取得の理由で嘘をつかない
 有休を申請する際は、詳細な理由を伝えなくても構いませんが「私事都合」「家庭の事情」程度は伝えておいたほうがよいでしょう。病気のため休むと嘘をついて出かけた先で事故や災害に遭った際には問題になることもあります。嘘はつかないよう注意してください。

 試用期間中は有給休暇の有無を確認する
 入社してから6カ月後に、10日間の有給休暇が付与されます。6カ月経たないうちは、計画年休などの休暇があるとしても、有休ではないので注意しましょう。また、正式に社員登用される前の「試用期間」についても、有休発生の6か月に含められます。有休を取得できる条件については、入社前にしっかり確認しておきましょう。

 休暇を取ることのメリット
 休みを取ることで体力の回復が見込め、精神的にもリフレッシュすることができます。心身が癒されることでモチベーションがアップし、休み明けの仕事のパフォーマンスも上がるでしょう。また、仕事と休みのオン・オフが得られることで生活にメリハリが出ます。

 メリハリをつけるためには、夏休みや年末年始の休みだけでなく、普段から積極的に有休を活用しながら過ごすことが大切です。1人1人のワークライフバランスが向上すれば、社会全体の生活の質の向上も期待できることでしょう。
 
 有給休暇の過ごし方5選
 有休を取って何をすればいいのかわからないという方のために、有休の過ごし方もご紹介します。

 1. 旅行に行く
 有休を取得して国内外、連泊・日帰りに関わらず旅行に行くのはいかがでしょうか。日帰り旅行でもリフレッシュできますし、比較的長い休みが取れたならば、思い切って海外へ旅行するのもよいでしょう。一人旅を満喫するのもよいですし、普段は休みのタイミングが違ってなかなか会えない友人と休みを合わせれば、一緒に旅行に行くこともできます。

 土日は予約がいっぱいの人気の宿泊施設なども、平日ならば予約が取りやすかったり料金が安くなっていたりする場合もあります。普段は思いつくばかりで実行できなかった「今度行ってみよう」「いつか巡ってみたい」を叶えるチャンスです。

 2. 家でのんびりする
 お気に入りの家具に囲まれて、着心地のよいパジャマを着て、好きな紅茶やコーヒーを楽しむ。特別な休みだからこそ、家でのんびり過ごすのはいかがでしょうか。自宅では落ち着かないという場合は、休みを使って自宅をリラックスできる空間に変えてみるのもよいでしょう。

 せっかくの休みはいつもと違う場所で過ごしたいと考える方なら、自分がくつろげる場所を探してみるのもおすすめです。比較的家から近い場所にお気に入りの場所が見つかれば、別のタイミングでも利用できます。また、思いついたものを買いに出かけるのも、気分転換になってよいでしょう。

 3. 普段、行けない場所に行く
 いつもと違う休みが取れたならば、普段は行けないような場所へ足を運んでみてはいかがでしょうか。土日は混雑していて入れない人気のカフェや、いつもは仕事で間に合わないハッピーアワーの時間帯のバー、定番かもしれませんがテーマパークで1日遊ぶのもよいでしょう。

 また、土日休みの方が平日に有休を取得できれば、銀行や役所の手続きなど、平日にしかできないことを済ませられます。普段なかなか行けないスポットではリフレッシュすることでき、身近な場所では新しい発見ができるかもしれません。

 4. 家事などを時間をかけてやってみる
煮込み料理のような時間も手間もかかる料理を作ってみたり、新たな料理に挑戦するのはいかがでしょうか。さっと掃除機をかけるだけで掃除を済ませている場合は、お風呂やトイレなどの水回り、タンスや電気の傘の上、収納の中など、部屋の隅々までしっかり掃除するのもおすすめです。

 時間をかけて丁寧に家事をすることで、普段なら気がつかなかったことに気づけたり、思わぬアイデアが浮かんだりするかもしれません。

 5. いつかやろうと思っていたことをやってみる
「いつか時間ができたらやろう」「今度チャレンジしてみよう」など、やりたいと思っていたけど先延ばしにしていたことはありませんか。有休を使って「いつかやろう」と思っていたことに手をつけてみてはいがでしょう。

・資格を取得するための勉強をする
・マッサージやエステ、ネイルサロンなどに行って自分をメンテナンスする
・読みたいと思って買いだめしていた本を読む
・DVDが出たら借りようと思っていた映画だけど、映画館に足を運んで観る
・実家に帰ってしばらく会っていない親戚と会う
・親孝行をする

「わざわざ有休を取ってまで」と思う方もいるかもしれません。しかし、目まぐるしい昨今だからこそ、何気ない日常でのオンとオフが大切になってくるのです。

まとめ
休むことで心身ともにリフレッシュでき、仕事面では生産性が上がるなど、「年次有給休暇(有休)」の取得には大きなメリットがあります。就職や転職の際は、仕事内容や給与面などさまざまなことが気になりますが、有休が取りやすくて休みやすい環境かどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。(正司光男)